サクシュコトニ川の朝
6月。夏至の近づく頃。
北大構内を流れる小さな川で、オシドリ親子を見かけました。
北大は観光名所でもありますが、この小さな川はメインストリートからは隠れているので地元の人以外にはあまり知られていないようです。
静かで、川のせせらぎが聞こえる場所です。
静かではありますが、ひっそりとカメラを抱えた方たちもいらっしゃいます。
この季節、朝は必ずこの方たちを見かけます。
何を撮っているかというと…
オシドリの親子
このヒナたちがお母さんと一緒に、メインストリートをヨチヨチと池に向かって渡るシーンを「わたり」というらしく、
カメラの皆さんはその時を待っているようでした。
サクシュコトニ川の話
さて、この小さな川。サクシュコトニ川といいます。北大が2003年に復元した川です。もともと自然な川の流れがあったのですが、地下水の水位が下がり、水源が枯れてしまいました。
そういえば、40年以上前ですが札幌市内でもミズバショウを見かけました。ミズバショウは水が豊富な湿地帯で咲くのですね。
地下鉄が出来た頃、急に見かけなくなりました。
排水や舗装道路が整って雨が地中に浸み込まなくなったためでしょうか。
この川は藻岩浄水場から水源を取って復元された川。
もともとは北大植物園北側旧伊藤邸(現ラトゥール札幌伊藤ガーデン)敷地内の湧泉(メム)を水源としていたようです。
豊かな清流で、鮭の遡上も見られていたとか。
札幌昔ばなし
札幌は扇状地で、扇状地の端は現在の中心部です。
札幌駅の近くでは、池でした 泉でした 川でした というところがたくさんあります。
たとえば、植物園道庁側の道路は、明治時代には川を渡る橋が2本かけられていました。
植物園から川が流れ、迂回した湾曲部は池になって、また植物園に戻ります。池に入る川に1本、池から出て植物園に入る川に1本と、橋があったのです(明治32年「札幌市内明細案内図」より)。
以前、ブラタモリ「札幌編」で植物園前の道路が曲がっているのはなぜ?という設問がありました。
現在の「シティハウス道庁前」のところです。
答えは、池があったからでした。
失われた「水路」があちらこちらにある札幌。
もう一度サクシュコトニ川
さて、失われた「水路」を復元したサクシュコトニ川。
曲がりくねった川に沿って遊歩道があります。
メインストリートを背にすると、このように見えます。
野の花もいろいろ咲いています。
川の横に弓道部あり。
少し、川を進んでみましょう。
現在は藻岩浄水場からの水源。
北大だけの水路用マンホール
昭和初期にこの場所までがんばって遡上していた鮭を思い浮かべたりしているうちに、小さな川の道は進めないところになりました。
最後に大野池に寄って帰りましょう。
来た道をサクシュコトニ川に沿ってもどります。
大野池
大野池では7月になると睡蓮の花が見られます。
周りにはベンチがあって、ゆっくり池を眺めていられます。
野鳥も訪れる大野池。
双眼鏡を持っていたら、ベンチで鳥を追いかけて時間を忘れますよ。
札幌駅から近い場所で、こんなに静かで、そして歴史を感じられる場所があります。
よかったら、一度訪れてみてくださいね。